2019年4月25日 18:00 – 20:00
ゲストスピーカー:山内真里(公認会計士 税理士)
於:SPIRAL

アート作品の財としての側面を捉え、作品の購入・所有にまつわる税の仕組みについての話を聞く会に参加しました。
有意義なお話も多かったので、備忘をかねたメモを。

●山内真里さんについて

2011年にアートやカルチャーを専門領域とする会計事務所を設立し、現在に至る。豊かな文化の醸成と経済活動は裏表一体、不可分なものと考え、会計・税務・財務等の専門性を生かした経営支援を通じ、文化・芸術や創造的活動を下支えするとともに、文化経営の担い手と並走するペースメーカー兼アクセラレータとなることを目指す。また、これら担い手との協働を通じ彼らの提案力を会計面からサポートし、産業とクリエイティブの融合の触媒になりたいと考えている。

●個人がアート作品を買う際の税の基礎知識

1)アート作品の財としての側面

  • 主観的満足度、充足される欲求の大きさを表す使用価値 と交換するときの価値である交換価値、市場価値。アートの場合、美術的価値や社会的の生成プロセスは複雑であるが、いずれにしても左記に影響する。
  • 現物資産としての美術品は、金融資産との比較で考えると、、、
    換金可能性や取引リスク(真贋判断含む)、保有コスト、課税ルールなどで違いがある。

アートラバーズを巡る経済行動を考える → 四つの経済活動に分解できる
 鑑賞する
 購入、所有または利用する
 売却する、手放す
 遺す、引き継ぐ

2)アート作品にまつわる税の扱い

(平成27年1月の税制改正においてあった変更点を中心に)
作品を購入するうえで知っておくべきこと。事業を行っていなければ、手放す(売却・相続・贈与)以外は、ほぼ関係なし。

★購入

  • 一点あたりの取得価額が100万未満は減価償却可能。100万以上の作品は資産計上しても減価償却できない。
    減価償却の耐用年数は主として金属製なら15年、以外は8年。時の経過により価値が減少しないことが明らかな資産は除く(←摩耗しないもの、古美術(もう磨耗しない、という整理)
  • 青色申告事業者の場合、30万未満ならば、即時費用計上可能。
  • 輸送コストは取得価額に含む。
  • 作品を輸入する場合の輸入消費税は、避けられない。
  • 取得日は、契約基準ではなく納品基準が原則(入手した日)
    →倉庫へそのまま保管、発送から入手までの期間(に事業会社決算またぐ場合など)など個別ケースは考慮必要
  • 以上は、実際に事業で利用することが前提。エントランスや事務所に飾るでもオーケー。

★売却

  • 譲渡所得として、譲渡価額から取得価額と譲渡費用を除いて更に特別控除額50万を除いた額
    「譲渡所得=譲渡価額ー(取得価額 + 譲渡費用)-特別控除額(50万円)」
  • 5年以上の保有であれば、上記の半分で済む。
  • 譲渡所得は、他の所得と合算して課税対象(総合課税)に。
  • 譲渡価額30万以下の場合ならば「生活に通常必要な動産」として非課税。
  • 取得価額不明の場合は、譲渡価額の5%と見做されるので注意。→購入時の取得費明細は必ず保管
  • 事業者は、損失基調の時に税負担を避けつつ、益出しとして使うこともあり。

★売却以外の「手放す」(遺す場合、引継場合。贈与や相続)

  • 贈与税、相続税の対象。
    寄附金控除の対象でもあるが、相手の選択には要注意(認められた公的機関、NPOなどのみ)。課税所得の40%が上限。
    寄贈もできるが、受入側の事情もあるため、事前の計画が必要になる。
    登録美術品制度、特定美術品納税猶予制度もあるが、対象は国宝級のみ。
  • 評価には精通者の意見を求められる。
  • 個人から法人への寄付はみなし譲渡所得課税の対象となるので更に注意。

3)海外との比較

  • 売りやすい環境作り、オープンなオンラインマーケットなどが必要。
  • 真贋のチェック、来歴のチェク。ブロックチェーンを使って。
  • 評価の環境。ライセンスを持った評価者による評価値は、税務上も使えるなど。

(参考)Artgate
複数人で所有権、利用権を保有。その権利を売却もできるようなプラットフォーム。現在事前登録受付中。(公式サイトは、こちら

「note」にて「アート・コレクターと税制 ― マイ・ルール構築に向けて」というシリーズを執筆されています。
本講義の内容をより詳しく知ることができる内容でした。
ご興味ある方は、訪問されてはいかがですか?
https://note.mu/mari_yamauchi

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