今年で5回目を迎える二子玉川ライズ薪能。
4回目の昨年に続いての参加。昨年は雨天(が予想されたため)屋内での上演でしたが、今年は屋外。
ライズのルーフガーデン「原っぱ広場」で開催でした。

8/7(金)、8/8(土)の二日間の開催でしたが、8/8(土)の公演に参加、
演目は、舞囃子「徹」、狂言「蚊相撲」、能「石橋」でした。

今年は、天気に恵まれ屋外で開催だったこと、コロナ禍のソーシャルディスタンスのため、席が2メートル四方離れていたこともあり、
開放的な中で、ゆっくりと拝見できることができました。

印象に残ったのは、「石橋」(「しゃっきょう」と読む)という演目。

上演前に解説をしてくださった法政大学能楽研究所所長の山中玲子先生によると

  • 本作品は、一度消滅してしまう。(伝承されなくなってしまった。)
  • しかし、徳川家康が所望して、能楽師達に復活(復元)を命ずる。が、一部復元したのは二代目秀忠の代。
  • すべてが復元できたのは、江戸中期。
  • その分、洗練された構成・仕立てとなっている。

だそうです。 (筆者の理解に基づいて記載。)

概要は、、、、
(記載内容は、「the能ドットコム」にある「演目辞典」の「石橋」からも参照引用。)

  • 舞台は中国の清涼山。その先には文殊菩薩の浄土があるというところにかかっている石橋。
  • 修行を続け、インドや中国を旅してまわる寂昭法師は、その石橋を渡ろうとする。
  • しかし、石橋は、幅30cm程度(「寸足らず」)、長さ10m程度(「3丈」)、高さは数千m(「数千丈」)、 雲から落ちてきてそうな滝の水しぶきで視界は悪く、橋の表面は苔が蒸してつるつる。
  • この橋は、人間が渡る橋ではないと言われ、ここで起きる出来事を待つことに。
  • ここまでが、前半の「静」の部分
  • 後半は、浄土からの使者である百獣の王「獅子」が、百花の王「牡丹」を前に激しい舞を見せる。

今回は、「薪能」、夜の屋外での上演です。
笛、小鼓、大鼓、太鼓の奏でる音が夜風に乗って響き、篝火の中に白獅子(親獅子)、赤獅子(子獅子)の舞う姿が照らし出され、風に鬣のなびく様は、
緊張感がありながらもとても幻想的で、別の世界に引き込まれていくようでした。
復元されたという江戸時代中期など、まだまだ電気のなかった時代、真っ暗な中に篝火の明かりだけで上演されていたことを考えると、かなり「神性」を持った舞台だろうと考えます。

そして、今回は、白獅子・赤獅子の連獅子でしたが、白獅子だけの場合もあるそうです。
また、下記のYouTube動画(「京都大学能楽部金剛会・創立五十周年祝賀能楽大会にて。2012年3月18日@京都・金剛能楽堂」)では、赤獅子二頭、白獅子一頭の3人の演者による舞です。
こちらは、「半能」と言って、後半の舞のみを演じた時の模様のようです。

能の中でも獅子が舞うというわかりやすい演目でもあるため、外国人に能を紹介する時の演目に使われることも多いとか。
延期となりましたが、東京オリンピック・パラリンピック期間中の「東京2020 NIPPONフェスティバル」で行われる能楽祭の演目だったようです。
( https://tokyo2020.org/ja/news/news-20190805-01-ja )

そして、牡丹の舞台で獅子が舞うめでたいことから、「祝辞」の能として、おめでたい席での演目となることも多いようです。
平成天皇陛下、令和天皇陛下のご即位の礼における内閣総理大臣主催晩餐会の演目だったとのこと。
( 「能(申楽)と天皇~令和即位礼での演能は観世清和「石橋」 https://phity.net/emperor-japan-noh-authority 参照)

とっても勉強になる機会を得ることができました。

公演前の各メディア広告では、「YouTube配信」も行うような記載があります。
記事執筆時点(2020年8月10日)では、まだ見つかりませんが、関係者の方々の配信を期待したいと思います、

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

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