「日本人に、本物の芸術を。」そんな熱い想いをもって西洋絵画を収集した「男」松方幸次郎。そんな彼のコレクション=「松方コレクション」を管理する国立西洋美術館。そこで開かれている開館60周年記念のイベント「松方コレンクション展」を観てきました。
コレクション展の英語タイトルは、「THE MATSUKATA COLLECTION A One-Hundred-Year Odyssey」。壮大な理想(「共楽美術館」建設構想)をもって個人の財産で収集した3000点に及ぶ作品、そしてフランスから買い戻したという8000点余りの浮世絵も加えると10000点を超える作品たち。然しながら、歴史や政治の翻弄、様々な紆余曲折を受けて世界中に散っていった作品たち。
今回は、国立西洋美術館の礎ともなった、戦後にフランス政府から返還された375点、及び、各国に散っている作品の中から約160点が一堂に会したコレクション展。100年に及ぶコレクションの「航海」の集大成と言える企画展です。
松方幸次郎氏の生涯、そして「松方コレクション」の歴史については川崎重工業 公式サイトにある「STORIES」に、わかりやすくまとめられています。
あまりにも多くの作品を観たので、ここではあくまでも個人的な好み、気になった作品をご紹介したいと思います。
「松方コレクション」と言えば、やはりモネの作品が頭に浮かびますね。個人的に交友があったと言われるモネの作品は展示数も多く、いろいろ楽しめます。そんな中でも、お気に入りは、「チャーリング・クロス橋、ロンドン」と「ウォータールー橋、ロンドン」。モネ=フランスのイメージが強かった中で、以前に常設展で展示されている時から、霞むような色彩がお気に入りでした。
モネの作品と言えば、今回の1つの大きな話題、挑戦でもあった「睡蓮、柳の反映」の保存修復作業。過去から引き継がれてきた技術、そして最先端のデジタル技術を駆使して復元された結果を観ることができます。
修復作業の工程などは、コレクション展の公式図録に詳しく記載されてます。ご確認ください。
美術館入り口の右手にあるロダンの「地獄の門」。普段から展示(設置)されており、何気なく見ていましたが、これも松方コレクションだったとのこと。世界で7つしか鋳造されておらず、ロダンに最初に発注したのが松方幸次郎という定説であったようですが、実はフィラデルフィアのロダン美術館にあるものの方が早かったという説もあるとか・・・(公式図録より)
他にも、いっぱいいっぱいの作品たちです。
多くの作品が、歴史的な資料と共に展示されています。期間は、2019年9月23日となりますので、ぜひ、足をお運びください。また、国立西洋美術館の所蔵作品は、こちらのサイトでも検索できます。
http://collection.nmwa.go.jp/artizeweb/search_1_top.do
残念ながら訪問することができない方は、こちらにて作品とその解説をご覧ください。本レポートに掲載した作品の画像をクリックすると該当作品の解説ページにリンクされます。(大原美術館所蔵のエドヴァルド・ムンク「吸血鬼Ⅱ」を除く)
あわせて訪れた常設展。今回企画展で展示されなかった松方コレクションの一部や国立西洋美術館として後々加えたコレクションの数々を楽しめます。
企画展と違い、常設展では「寄託」作品以外は撮影自由というのも嬉しいですね。
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