京都造形芸術大学通信教育部芸術教養学科での課題で、筆者の感じる「イタリアのまちの美しさ」についてまとめてみました。
美しいイタリアの写真。子供の頃から数多くの美しいイタリアの風景を見てきているはずであるが、ここ近年のお気に入りは、写真家ジョバンニ・ピリアルヴ(Giovanni Piliarvu)さんの3つの作品である。ジョバンニさんは、イタリアサルデーニャ島出身。在郷中にはフィルムカメラで写真を撮っていて、島を離れて一時中断。来日して数年後、デジタルカメラで日本の風景や、お祭り、散策時などを撮り始める。その「場」にある雰囲気、感性を切取って一枚の作品に仕上げる、それがまた日本人の感覚と異なる感じで、憧れる。
1つ目は、彼の初個展から「Attacco」。断崖絶壁の上に建つパステルでカラフルな住居群が有名な世界遺産のまちチンクエ・テッレ(Cinque Terre)。その夜明け前の一瞬を切り取った風景。住居群がほのかな色合いでわき役に回り、海も空もそれぞれが表現している複雑なアズール(青、藍、紺)が印象に残った。「ジョバンニ・アズール」と今でも個人的には呼んでいる。
2つ目は、二回目の個展から、「Bergamotto」、シチリア島の街シクリ(Scicli)。夕刻の街並みの鳥瞰図的な作品。山あいにコンパクトに形成されている街全体で、山の緑と街と崖の白が爽やかな対比を形成している。その中に灯し始められた電灯により乳白色からピンク色に染まっていく建物の色が柔らかさを引き出していると思う。
3つ目は、三回目の個展から、「Meravigliando」、ローマのコロッセオ。コロッセオを撮りながら手前の広場・石畳を中心とすることで、朝の静謐さと神々しさを感じる作品。芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」に通ずると感じた。
いずれの作品にも共通する「美しく感じる理由」は、「調和と融合」がキーワードだと思う。それは、自然と人工、旧と新、モノとモノ、モノとコト(事象)、それぞれの持つ色、などなどが、対称の美(シンメトリー)ではなく、また、単独で存在するのではなく、周りの見えない空気(雰囲気)をも溶け込ませて美しく融合・調和されている、ということだと思う。
写真は、以下の写真家、版権管理元の許可をいただき掲載
写真家:ジョバンニ・ピリアルヴ(Giovanni Piliarvu) http://giovannipiliarvu.com/ja/
版権管理元:Island Gallery http://islandgallery.jp/
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