東京都美術館で開催中の伊庭靖子展「まなざしのあわい」。
光、色、質感というキーワードを意識する、感じることのできる素敵な展示でした。

【あわい】

①物と物のあいだ。また、あいだの距離。ま。
②時間と時間とのあいだ。時間的隔たり。
③人と人の間柄。相互の関係。
④色の取り合わせ。配色。
⑤おり。形勢。

「あわい」とは「間(あわい)」である。(ということを学びました。)
それ故に、タイトルは、作家(伊庭靖子さん)の眼差しと対象物と距離感・間に焦点が当てられていることになります。それが、対象物の質感やそれが纏う光の描かれた作品という形で、我々に提供されているようです。

クッションシリーズ、器シリーズは、対象物を写真に収めたのちにそれを絵に描くという伊庭さんの初期を代表する作品群であり、色を持ちながらも透明感強く、どの作品も明度、彩度が高いということでしょう。

そして透明感が強いながらも、透明が無色でないことも特徴だと思います。
これらが、伊庭さんの大切にしているという「質感」の表現につながってくるのでしょうか。

アクリルボックスに入れた花器を写真に収めたのちにそれらを描くシリーズでは、一般的に透明と言われるアクリルボックスにも色が付けられています。というか、色を意識することができます。
それはグレーであり、ベージュであり、光の当たり方で全体的に紗がかかったような薄い膜のような形状で表現されています。
そして他の物体を投影した色も持っています。
それらの色を綺麗に巧みに描き分ける伊庭さんの色使いは卓越した才能だと思います。

そして最近のシリーズは、シルクスクリーンの風景画。切り取る断面は、特別な場所、風光明媚な場所ではない日常的な場所のように思えるのですが、切り取り方が独特なのでしょうか、印象に残ります。
そして驚くのはその描き方。とてもとても細かい点(ドット)重ねることで出来上がった作品です。その細かさ故に、光の陰影、質感が繊細に表現可能となっていると思います。

これまでに見た様々な作品(著名なモノ、それほどでも無いモノ)の中で、最も、光と透明感、そして色を意識した気がします。
本掲載の写真は図録からの取得ですので、正直、光と透明感、そして色を感じられません

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

関連記事

  1. チームラボ下鴨神社糺の森の光の祭(京都 世界遺産)

    2019.09.16

    チームラボ下鴨神社糺の森の光の祭(京都 世界遺産)

    いまや全国各地で開かれるチームラボさんのイベント。世界遺産である下鴨神社で9/2まで開かれていた「糺…

    チームラボ下鴨神社糺の森の光の祭(京都 世界遺産)
  2. ファインアートフォトを世界に広める個展の運営とは

    2020.10.11

    ファインアートフォトを世界に広める個展の運営とは

    京都芸術大学通信教育部芸術教養学科での課題で、「ファインアートフォトを世界に広める個展の運営」につい…

    ファインアートフォトを世界に広める個展の運営とは
  3. 山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛

    2019.03.25

    山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛

    少し桜には早い時期に、一足早く 「醍醐」の桜を楽しみました。圧巻の醍醐桜ですが、奥村土牛の作品には、…

    山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛
  4. イタリアの「まち」の美しさについて(その3:まとめ)

    2018.09.5

    イタリアの「まち」の美しさについて(その3:まとめ)

    京都造形芸術大学通信教育部芸術教養学科での課題で、筆者の感じる「イタリアのまちの美しさ」についてまと…

    イタリアの「まち」の美しさについて(その3:まとめ)
  5. ”着る”アフリカ展

    2019.03.11

    ”着る”アフリカ展

    神奈川県立地球市民かながわプラザ(「あーすぷらざ」)で行われている「”着る”アフリカ展」を観に行きま…

    ”着る”アフリカ展
  6. 「利休に想いを寄せて」

    2018.08.11

    「利休に想いを寄せて」

    書家、書道家本田ルミさんが、2018年7月の「FEI ART MUSEUM YOKOHAMA 」で開…

    「利休に想いを寄せて」
  7. 第18回文化資源学フォーラム 「コレクションを手放す 譲渡、売却、廃棄」

    2019.05.29

    第18回文化資源学フォーラム 「コレクションを手放す 譲渡、売却、廃棄…

    2019年2月17日(日)13:30〜17:00会場:東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室この…

    第18回文化資源学フォーラム 「コレクションを手放す 譲渡、売却、廃棄」
  8. 中野嘉之の世界 -時空を超えた出会い、感動とその美-

    2020.03.7

    中野嘉之の世界 -時空を超えた出会い、感動とその美-

    中目黒の「さくら」の美術館。何度運んでも、新たな発見と感動をくれるお気に入りの美術館。2/23いっぱ…

    中野嘉之の世界 -時空を超えた出会い、感動とその美-
  9. 皇室ゆかりの美術 - 宮殿を彩った日本画家 -

    2019.01.27

    皇室ゆかりの美術 - 宮殿を彩った日本画家 -

    1/20(日)で会期は終了してしまいました。お目当てだった東山魁夷の「満ち来る潮」が壁一…

    皇室ゆかりの美術 - 宮殿を彩った日本画家 -

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


過去記事はこちら

PAGE TOP