京都で開催される貴重なイベントに参加してきました。
季節よく緑の映える日でもあったので、心身のリフレッシュをさせてもらえました。
目の保養となった記録を備忘を兼ねて残しておきます。

最初に訪れたのは、妙心寺。

臨済宗妙心寺派の大本山で、花園上皇の御所だった処を上皇が法皇となられた際に禅寺とされたようです。
広大な敷地で、46の塔頭寺院から形成されている「複合体」(Complex:英語の表記に使われていました。)で、生活道路が敷地内を通っている、ここだけで1日を過ごせるスポットです。
お目当ては「桂春院」だったのですが、この規模を目の辺りにして、他にも散策することにしました。

狩野派画家狩野元信が作庭したという珍しい枯山水庭園、「元信の庭」。ここでは、日本最古の水墨画 国宝「瓢鮎図」(模本)も観ることができます。
そして、池泉回遊式庭園「余香苑」では、入口にある大きな枝垂れ桜と両脇にある「陰」と「陽」の庭園。その違いの真意を、わかったような分からないようなで納得(苦笑)し、池の周りの樹々の緑を楽しみました。奥にある茶席ではお抹茶をいただくこともできるのですが、今回は団体のお客様がいらしたため断念。茶席に入るための露地にある蹲(つくばい)が水琴窟になっているので、水滴の滴りの響きで、心地よさをいただきました。

枝垂れ桜
「陽」の庭園
「陽」の庭園
「陰」の庭園
「陰」の庭園

年3回、春の枝垂れ桜、夏の蓮の花、秋の紅葉の時期には特別拝観が可能なようですので、次回は時期も確認の上、訪れたいと思います。

「はっとう」と読みます。江戸初期の狩野派の狩野探幽作の「雲龍図」が天井を覆います。どこから見ても龍と目が合う、不思議な構図。ぜひ実物を様々な角度からご覧ください。(写真撮影は不可です。)また、日本最古の鐘と言われている国宝の梵鐘も設置されています。吉田兼好の「徒然草」にも登場するという代物で、子供の頃、NHKの「ゆく年くる年」で撞かれていたものです。現在へ二代目に譲り、利用はされていないようですが、再現音は聴くことができます。静かな法堂の中で響く少し高めの鐘の音は、長い余韻を残して静寂との対比をじっくりと味わうことができます。

『雲龍図』(配布資料より)

一緒に拝観できる庫裏は、妙心寺の台所。数百人に給仕できる大庫裏にある釜とその仕組みは一見の価値ありです。

桂春院

「そうだ 京都、行こう」でも苔の名所として挙げられている寺院。「清浄の庭」「思惟の庭」「真如の庭」「侘びの庭」と、趣の異なる4つの庭があります。

なかでも茶室に付随する露地庭園「侘びの庭」の一面に敷かれた苔は、樹々の緑と一体となり、居心地の好い時間と空間を提供してくれます。また、狩野山雪による襖絵「金碧松三日月図」も詫び寂びの世界を醸し出すのに一役を買っています。

こちらでは、お抹茶をいただくことができ、今回のお菓子は「石清水」。散策の疲れを濃厚な餡と抹茶が、忘れさせてくれました。苔の庭園は、日差しの関係で刻一刻と姿を変えていきます。1日じっくりと向き合うのも贅沢な楽しみだと思います。

平日の午前中であった事もあり、人の少なかった妙心寺。禅寺という統一感はあるものの、様々な建付けの寺院があるようです。じっくり一日かけて回る、また、四季折々の異なる風情を楽しむ、などまだまだ懐の深い寺院です。

そして、次は、メインのイベント、大徳寺へ。(「京都で和を楽しむ。(その2)」に続く。

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