この春、いくつか開かれていた浮世絵展。その中でも女性が関連する3つの展覧会が印象的だったので、事後となりますがご紹介を。
4/13から5/26まで、千葉市美術館にて開催。その後、6/8から7/28まで静岡市美術館、8/10から9/29まで大阪市美術館にて巡回展示のようです。
1867年、アメリカのイリノイ州に生まれたメアリー・エインズワース。「女性の社会進出」に積極的だった彼女は、1906年に来日して浮世絵に魅了され以降、アメリカの中でも早期のコレクターとなります。その後、約25年をかけて収集された膨大なコレクションは、死後、母校のオーバリン大学に寄贈され、オーバリン大学アレン・メモリアル美術館で保管され続けていました。
今回は、日本初公開のコレクション展。本人だけでなく、本人亡き後、寄贈を受け入れて、保管し続けたオーバリアン大学、アレンメモリアル美術館 、そして、日本への凱旋を企画実現された千葉市美術館 に感謝です。
その数、質、保存状態の素晴らしさに圧倒され、かつ、じっくりと近くで拝見することができ、充実した時間をすごすことができました。
浮世絵の初期の作品、まだモノクロで素朴さが残るもの、から、鳥居清長や喜多川歌麿らによって確立されていった「錦絵」と呼ばれる黄金期のもの、更には葛飾北斎、圧巻は、本人も力を入れていたという歌川広重のコレクション。浮世絵の歴史をほぼ網羅しているという作品群です。また、本人がオークションに参加した際の入札情報なども拝見することができました。
北斎や広重などは、摺った時期の違いによる絵柄の違いのコレクションなどを比較して見ることができるのも、楽しい経験でした。
4/6から5/26まで、渋谷区立松涛美術館にて開催。
昨今、いろいろな浮世絵展が開催されてる中で、
「女性を主題において、江戸時代の女性の生活そのものを、浮世絵を中心に、多方面からその様相に迫る」
という独自の切り口を持って開催された展覧会です。
10章の章立ての中で、浮世絵(春画含む)だけでなく、そこで描かれる着物や芸事の道具(香道具など)、身分の違いによる差など、いろいろな視点を観ることができました。
4/10から5/18まで、六本木一丁目MARUEIDO JAPANにて開催。Aiko Robinsonさんの新しい春画の世界に出会うことができましたそのベースには、温故知新の思想が流れているようです。
あかるく、楽しく、ニヤッとできるようなエロティックな世界。江戸時代の春画は、まさにそのようなものだったと思われます。それを追及されている、ロビンソン愛子さん。
作品の中に挿入されている様々な暗示やタイトルの言葉遊び。特にタイトルは、言葉は違えど同じ言葉(単語)が日本語でも英語でも隠語(スラング)になってたりと、面白い発見もいっぱいでした。ちなみに、写真の作品名は、「Like Diving for Pearls」。日本でも真珠といえば。。。起源(ルーツ)・由来など知りたくなってきます。
そんな、知的な楽しみも満載の作品と、作家さん。今後もフォローして行きたいと思います。
(注)本投稿の作品画像は、図録・ポスター等を撮影したものです。従って、色、全体の構図などは実物とは異なります。
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