日本・スウェーデン外交関係樹立150周年を記念して、東京国立近代美術館工芸館にて開催されている「インゲヤード・ローマン展」に行ってきました。

スウェーデンを代表するデザイナーであり、また陶芸家としても知られるインゲヤード・ローマン(1943年、ストックホルム生まれ)さん。
恥ずかしながら、つい最近まで、存じ上げず。
きっかけは、京都造形芸術大学での課題で、デザイナーの柳原照弘氏が有田焼400年に世界に向けて発信したプロジェクト「2016/」の活動を調べたことです。

それに先立ち、9月21日(金)に「ボルボスタジオ青山」で開催された、インゲヤード・ローマン氏と柳原照弘氏のトークショーにも参加しました。

まずは、こちらで印象的だったこと、、、

「有田は、400年前、世界で最も生産力のある陶器生産地(の一つ)であった」
「有田(焼)をクラフトではなくインダストリにしていく」
「(飾りではなく)長く、日常生活の中で使い続けることのできるモノ」

また、課題作成の中で収集したレポートにあった「最初から世界に通ずるブランド作り(世界の食卓で日常的に使ってもらえる食器を創る)を目指す」という柳原氏のぶれない軸。
これらの実現にあたって、ご自身が尊敬するインゲヤード・ローマンに依頼し、作成されたティーポット。
まさに、上述のコンセプトを体現した、シンプルながら機能的、かつ、日本での日常生活(和室)でも海外でもフィットするデザインであり雰囲気。
伝統とは、このように進化しながら継承されていくべきものである、と感じました。

「インゲヤード・ローマン展」展示品の一部でもある「2016/」 のインゲヤード・ローマン作品が10月8日(月)まで、「ボルボ スタジオ青山」で展示・販売されています。
また、ご希望のお客さまは、「2016/」のティーカップでコーヒーをお楽しみいただくこともできますよ!
ぜひ、優雅なひと時を、「ボルボ スタジオ青山」で、お過ごしください。

概要は、 こちら から。

 

そして、東京国立近代美術館工芸館での「インゲヤード・ローマン展」。

 シンプルであること、  機能的であること、  そして美しさ、    ---それをつなぐのが、私の仕事。

インゲヤード・ローマンのこの言葉が全てを語りつくしている、日常に使えるシンプルで、機能的で、美しい、作品(ではなく、製品という言葉の方が正しいかもしれない)を堪能できる展覧会です。
じっくり、ゆっくり間近で見ながら、どのように使おうか、利用シーンについて頭を巡らしてしまう、おしゃれなショップでの製品選びの感覚で、楽しむことができます。

「作品の始まりは、私のニーズから」

「好きなのは産業とクラフトの間で、自分はその境界にいる」

「一点物や限定商品を作ることの意義がよく分かりません」

「私が作ってきた物すべて量産が可能です」

「美しい物がたくさんあるというのは、すばらしいことですよね?」

 

会期は、12月9日(日)までです。まだまだお時間ありますので、「日常における美」をご堪能ください。
(開催概要については、東京国立近代美術館工芸館のイベントページ、こちら、をご確認ください。)

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

関連記事

  1. 藪崎次郎 カタログブック 2017-2020『Fantastic Landscape Art Photography』

    2020.05.27

    藪崎次郎 カタログブック 2017-2020『Fantastic La…

    写真家藪崎次郎さんのカタログブックがIsland Galleryのオンラインサイトで、絶賛発売中です…

    藪崎次郎 カタログブック 2017-2020『Fantastic Landscape Art Photography』
  2. 「生誕110年東山魁夷展」と「オルセー美術館特別企画ピエール・ボナール展」

    2018.11.24

    「生誕110年東山魁夷展」と「オルセー美術館特別企画ピエール・ボナール…

    国立新美術館で開催されている2つの企画展。「生誕110年東山魁夷展」中学生のころ、退屈でしか…

    「生誕110年東山魁夷展」と「オルセー美術館特別企画ピエール・ボナール展」
  3. 山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛

    2019.03.25

    山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛

    少し桜には早い時期に、一足早く 「醍醐」の桜を楽しみました。圧巻の醍醐桜ですが、奥村土牛の作品には、…

    山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛
  4. 「Modern Woman」展も見逃せません。

    2019.08.16

    「Modern Woman」展も見逃せません。

    【七人の女性芸術家】マリア・ヴィーク Maria Wiikヘレン・シャル…

    「Modern Woman」展も見逃せません。
  5. 「黒田記念館」の特別公開を楽しむ。

    2020.02.25

    「黒田記念館」の特別公開を楽しむ。

    小学校か中学校の美術教育の賜物でしょうか、黒田清輝と言えば、「明治維新後に確立されていく日本における…

    「黒田記念館」の特別公開を楽しむ。
  6. 京都で和を楽しむ。(その1)

    2019.06.21

    京都で和を楽しむ。(その1)

    京都で開催される貴重なイベントに参加してきました。季節よく緑の映える日でもあったので、心身のリフレッ…

    京都で和を楽しむ。(その1)
  7. 「辰野金吾と美術のはなし 」

    2019.11.12

    「辰野金吾と美術のはなし 」

    東京駅丸の内の長い整備期間中に知った、東京駅の設計者辰野金吾の名前。その建築家・辰野金吾(1854-…

    「辰野金吾と美術のはなし 」
  8. 女性と浮世絵展

    2019.06.7

    女性と浮世絵展

    この春、いくつか開かれていた浮世絵展。その中でも女性が関連する3つの展覧会が印象的だったので、事後と…

    女性と浮世絵展
  9. 「共楽美術館」建設構想~松方コレクション展~

    2019.08.16

    「共楽美術館」建設構想~松方コレクション展~

    「日本人に、本物の芸術を。」そんな熱い想いをもって西洋絵画を収集した「男」松方幸次郎。そんな彼のコレ…

    「共楽美術館」建設構想~松方コレクション展~

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


過去記事はこちら

PAGE TOP