会期は終了してしまい事後となりますが、勉強にもなり、楽しむこともできた出光美術館での展覧会のご報告です。

6つの章立てに区切られた展示は、それぞれの部立の中で、世界を旅する「青」の歴史を体験できました。

青の揺藍(ゆりかご) -オリエントの青色世界
中国で確立する前にその技術やデザインの元となった中東で作成された製品の紹介。

中国青花磁器の壮麗 -景徳鎮官窯と民窯
中国での発展・成熟、特に代名詞とも言える「景徳鎮」窯で造られた逸品の数々の紹介。

温雅なる青 -朝鮮とベトナムの青花
朝鮮・ベトナムなどその他アジアへの伝播と発展。中国の製品・作品を模しながらも各国で独自性のでる染付たち。

伊万里と京焼 -日本の愛した暮らしの青
日本への伝播と発展。日本ならではの細部にこだわった製品、そして近代の名作家までの系譜など。

青に響く色彩 -豆彩と鍋島
染付は青だけではありません。涼やかな青と、繊細に澄んだ明るい色の数々が響き合うさま。

旅する染付 -青のうつわの世界性
中国・日本からヨーロッパへの展開。欧州の窯元がいかにアジアの影響を受けていたか。

「染付」といえば、中国・青、という先入観が強かっただけに、いろいろな発見がありました。

今回の展示の大きな趣旨である「旅する染付け」。その為の下記の工夫は、美術館コレクションの幅広さに感心しました。

  • 中国で染付が確立していく当初の作品と、その際にペルシャ地方ですでに造られており参考にしたと思われる作品が比較展示されていること
  • 中国、日本のアジアで確立された染付がヨーロッパ列強主義の時代にイギリス、フランス、ドイツ、オランダなどに伝わり、各国の当時産業が育っていく中で、諸外国の作品が参照したであろう中国・アジアの作品が比較展示されていること。

また、同一地域(中国)における染付けの時代を超える旅も印象的でした。

それは、清朝時代の染付け。
満州民族によって建てられた国家である「清」、その皇帝は、国家治安維持の観点からも漢民族への配慮、敬意を怠らず、それは官製窯事業にも現れていたのです。「古に倣う」という意味の「倣古」という考え方で造られた清朝時代の景徳鎮官窯の製品。明時代の景徳鎮官窯では製法上の限界として発生していた「にじみ」は、朝時代には解決できていた技術であるにも、わざわざ点描でこの「にじみ」を再現しているのです。この手間を付加することで、過去の名陶を引き継ぐ、オマージュするという行為だそうです。

とっても奥の広い、そして幅の広い、「染付」の世界。機会を見つけて、探求していきたいと思います。

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

関連記事

  1. 「Modern Woman」展も見逃せません。

    2019.08.16

    「Modern Woman」展も見逃せません。

    【七人の女性芸術家】マリア・ヴィーク Maria Wiikヘレン・シャル…

    「Modern Woman」展も見逃せません。
  2. (視覚)文化における「レギュレーションの関係」と「可謬主義」

    2018.08.26

    (視覚)文化における「レギュレーションの関係」と「可謬主義」

    京都造形芸術大学通信教育部芸術教養学科での課題で、「視覚文化」について考察しました。(課題レポー…

    (視覚)文化における「レギュレーションの関係」と「可謬主義」
  3. 藪崎次郎 カタログブック 2017-2020『Fantastic Landscape Art Photography』

    2020.05.27

    藪崎次郎 カタログブック 2017-2020『Fantastic La…

    写真家藪崎次郎さんのカタログブックがIsland Galleryのオンラインサイトで、絶賛発売中です…

    藪崎次郎 カタログブック 2017-2020『Fantastic Landscape Art Photography』
  4. 世界の美術品市場の最新動向と投資メリット

    2019.02.4

    世界の美術品市場の最新動向と投資メリット

    2019年1/24~1/26に東京ビッグサイトで開催されていた第二回資産運用EXPO。セミナーの一齣…

    世界の美術品市場の最新動向と投資メリット
  5. MOA美術館

    2019.08.24

    MOA美術館

    久しぶりに訪問したMOA美術館。改めて発見することが多く、実りある訪問でした。 …

    MOA美術館
  6. 現代アート徹底研究講座 ―基礎編から応用編、最新アートニュースまで―

    2019.02.19

    現代アート徹底研究講座 ―基礎編から応用編、最新アートニュースまで―

    2019年2月7日 19:00-20:30 @ DMM本社24F(住友不動産六本木グランドタワー24…

    現代アート徹底研究講座 ―基礎編から応用編、最新アートニュースまで―
  7. 女性と浮世絵展

    2019.06.7

    女性と浮世絵展

    この春、いくつか開かれていた浮世絵展。その中でも女性が関連する3つの展覧会が印象的だったので、事後と…

    女性と浮世絵展
  8. 山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛

    2019.03.25

    山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛

    少し桜には早い時期に、一足早く 「醍醐」の桜を楽しみました。圧巻の醍醐桜ですが、奥村土牛の作品には、…

    山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕130年記念 奥村土牛
  9. 退任記念 手塚雄二展

    2020.03.1

    退任記念 手塚雄二展

    2019年の春、横浜で出会うことができた手塚雄二画伯の作品。(手塚雄二展 「光を聴き、風を視る」 ※…

    退任記念 手塚雄二展

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


過去記事はこちら

PAGE TOP