素晴らしいファインアートの世界を提供してくださるIsland Galleryさん。
そこで、2019年7月に開催された写真家薮崎次郎さんの第二回目の個展「藪崎次郎 写真展 -f-」

藪崎次郎さんの技術に裏打ちされた感性で切り撮られた15枚の自然。
人の目を超えた(と思う)精緻さによって作られた画質は、

・数メートル離れて全体感を楽しむ(マクロビュー)

・数センチに近寄って対象物の詳細な描写を楽しむ(マイクロビュー)

のいずれでも楽しめます。
そして、全ての作品が「癒し」を与えてくれる作品ばかり。

大自然が、厳しいながらも、我々には優しい優しい存在であることを再認識させてくれます。

その中でも足がくぎ付けになったのが『翠碧黎明図』。単に額装して飾るだけではどうしてももったいない気がして・・・

「光琳」のような「魁夷」のような躍動感と静謐さを同居させるには屏風しかない!!
と思い立ってしまい、Island Galleryのオーナーと作品の作者ご本人に相談、
新たな試みとして、ご了解いただきました。

会期も終わり、落ち着いたころに、まずは、屏風なら!!と前から気になってきた片岡屏風店にお邪魔することに。
「東京で唯一の屏風専門店」として、墨田区にあり、北斎作品の屏風なども手掛けられている屏風店

冨嶽三十六景 『御厩川岸より両国橋夕陽見』 すみだ北斎美術館蔵

専務取締役の片岡孝斗さん自らが対応してくださり、
作業場を拝見しながら、(予算も当然ながら)画質や出来上がりのイメージを持てるようにお話を拝聴して、
大きさや枠についておおむね決めていきます。
特に、
屏風の折りたたみ部分については、画像の重ね合わせをどの程度とるのか、藪崎次郎さんが細かく確認してくださります。
そして、
B0サイズでの「風炉先屏風」を作成することになりました。

これが決まると、次は、まず印刷。(そして、その前段階としての紙の選定。)

額装の作品とは異なり、光沢をおさえ、マットな雰囲気で、かつ、インクが十分に乗るように、
そして、重みのある雰囲気も醸し出せるような・・・

というわがままな注文に、藪崎次郎さんが選んでくださったのが、アワガミファクトリーさんの和紙

手漉き「阿波和紙」1300年の伝統を継承しつつ、和紙の新たな製法・用法の開発に積極的に取り組まれているブランド。
その手触り、見た目(景色)は、やっぱり、「しっくりとなじむ」んです。

製品についてのこだわりは、「評価レポート」を公開されていることからも窺えます。

片岡屏風店、再び

刷り上がったところで、いよいよ屏風の作成です。
今回は、片岡屏風店さんのご厚意で、途中経過を記録に残していただけました。

製作工程は、以下となります。

  • 木枠作り → 
  • 蝶番 → 
  • 下貼り① (骨縛り) → 
  • 下貼り② (みの貼り) → 
  • 下貼り③ (みのおさえ) → 
  • 下貼り④ (袋貼り、清貼り) → 
  • 蝶番(組み合わせ) → 
  • 本紙貼り → 
  • 裏紙 → 
  • 仕上げ(椽、金具打ち)

製作工程は、片岡屏風店さんの公式サイトにある「屏風のできるまで」からの抜粋です。
こちらのページは、解説・写真付きで、分かりやすく説明してくださってます。ぜひご覧ください。

いよいよ、完成。

そして、出来上がったのが、こちら。

威風堂々とした素晴らしい出来上がり。
そして実物は近くによって観ても折りたたみ部分の細部など完璧のできばえ。
作家さんも含め、制作に関わった方々の職人気質が作品からにじみ出ています。

風炉先屏風は、茶道においては、主(お茶をたてる人)の領域を表す、ある意味「結界」となるもの。
今後予定している京都の支店の奥の間に鎮座させたいと思います。

貴重な経験をありがとうございました。

当社での藪崎次郎さんの取扱作品は、こちら、からご覧いただけます。
宜しければ。。。。

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

関連記事

  1. 現代アートの”お金”の話

    2019.03.19

    現代アートの”お金”の話

    2019年2月26日 19:00-21:00 於:WASEDA NEO講師;船山公認会計士事務所船山…

    現代アートの”お金”の話
  2. イタリアの「まち」の美しさについて(その3:まとめ)

    2018.09.5

    イタリアの「まち」の美しさについて(その3:まとめ)

    京都造形芸術大学通信教育部芸術教養学科での課題で、筆者の感じる「イタリアのまちの美しさ」についてまと…

    イタリアの「まち」の美しさについて(その3:まとめ)
  3. チームラボ永遠の海に浮かぶ無常の花(金沢)

    2019.09.6

    チームラボ永遠の海に浮かぶ無常の花(金沢)

    いまや全国各地で開かれるチームラボさんのイベント。現代アートの美術館として有名な金沢21世紀美術館で…

    チームラボ永遠の海に浮かぶ無常の花(金沢)
  4. 千住博展と手塚雄二展

    2019.04.22

    千住博展と手塚雄二展

    4月の上旬に横浜駅の百貨店で2つの展覧会が開かれました。いずれも大作の事前公開展。せっかくの機会なの…

    千住博展と手塚雄二展
  5. チームラボ下鴨神社糺の森の光の祭(京都 世界遺産)

    2019.09.16

    チームラボ下鴨神社糺の森の光の祭(京都 世界遺産)

    いまや全国各地で開かれるチームラボさんのイベント。世界遺産である下鴨神社で9/2まで開かれていた「糺…

    チームラボ下鴨神社糺の森の光の祭(京都 世界遺産)
  6. 退任記念 手塚雄二展

    2020.03.1

    退任記念 手塚雄二展

    2019年の春、横浜で出会うことができた手塚雄二画伯の作品。(手塚雄二展 「光を聴き、風を視る」 ※…

    退任記念 手塚雄二展
  7. 日本画「青・蒼・碧」展

    2019.07.30

    日本画「青・蒼・碧」展

    お気に入りの郷さくら美術館(※1)。現在開催中の企画展(コレクション展)『日本画「青・蒼・碧」展』を…

    日本画「青・蒼・碧」展
  8. 女性と浮世絵展

    2019.06.7

    女性と浮世絵展

    この春、いくつか開かれていた浮世絵展。その中でも女性が関連する3つの展覧会が印象的だったので、事後と…

    女性と浮世絵展
  9. 2020年の美術館巡りは、上野の杜から。

    2020.01.8

    2020年の美術館巡りは、上野の杜から。

    令和になって初めてのお正月。せっかくなので、いつもと違う過ごし方。上野の杜近くに宿泊し、美術館巡りを…

    2020年の美術館巡りは、上野の杜から。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


過去記事はこちら