プラン・インターナショナル・ジャパン(PIJ)さんの活動報告会が開かれました。
久しぶりに、現地でどんな活動がなされているのかを吸収するために、参加してきました。

今回は、
「遠い国の女の子の親になる」ってどういうこと?
として、このコピーの背景にある課題認識のうちの3つの説明と、
その解決に向けた取り組みとしてPIJさんの活動、プランスポンサーシップの説明をしてくださる回でした。

〇プランインターナショナルとは

子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会を実現するために世界70か国(支援国20 活動50国)以上で活動する国際NGO。
例えば
「国境なき医師団」との対比で言えば、目的が明示されていない分だけ「何でも屋」
対象地域全体の底上げのために、その対象地域選定から、「卒業」まで20年近い単位のプロジェクトを実施し続けている。

(過去にいただいたプロジェクトのロードマップ図を再掲します。)

これら様々な地域支援活動の中で、ジェンダーギャップが大きな課題であると認識し、2007年から 「Because I am a Girl」 運動を展開している。

〇「遠い国の女の子の親になる」では、5つの問題提起をしている。

「私の娘は、一切れのパンのために自分を売ったことがある。」

  • 世界で学校に通えない女の子は6200万人(データソース:世界銀行)
  • 文字が読めない → 安定した職がない → 性産業 → 妊娠・感染症
                               自尊心が傷つけられる

「私の娘は、13歳で40歳年上の男と結婚させられる。」

  • 途上国では、3人に1人の女の子が18歳未満で結婚、9人に1人の女の子は15歳未満で結婚(データソース:国連)
  • 貧困 → 中途退学 →                             早すぎる結婚 → 家事労働・暴力
    差別   (通わせることができない、通わせる発想がない)           10代での出産
         ダウリー →                             経済的な従属
         (花嫁持参金。若い方が安い)
      結果生ずる貧困へのループ

「私の娘は、男たちからの暴力に怯えながら学校へ行く。」

  • 世界では、性暴力に限っても1億2000万人の女の子が被害を受けている。(データソース:ユニセフ)
  • 女性軽視(男性重視)、家庭における従属的な立場、性産業従事者(の子供や本人) → 教員からの性的強制もあり

今回焦点を当てた上記3つの他には、以下の2つを課題認識している。

  • 「私の娘は、毎日4時間かけて危険な場所まで水汲みに行く。」
  • 「私の娘は、病気になっただけで父親に捨てられた。」

こちら、のページにわかりやすくまとめられています。

〇問題提起に対する取り組みの効果

地域レベルでの支援を、時間をかけて継続していくことで、上記の問題を解決していく、
特に、「女の子」の待遇が改善することは、社会全体の底上げにつながる。

女の子が自分の人生を決められるようになる

  • 「女の子が1年長く初等教育を受けると、その子が将来得る収入が約11%増加する」(データソース:世界銀行)
  • 経済力をもつことで家庭内の発言力が増し、自分の意志で生き方を決定できる可能性が増大。
  • 就学期間が延び早すぎる結婚を避けることで、体が未熟なうちの出産で命を落とす女の子も減る。

次世代の子どもたちの健康が増進し、教育を受けられるようになる

  • 「すべての女性が中等教育を修了すれば、5歳未満児の死亡率は約49%減り、1年でおよそ300万人の命を救える」(データソース:ユネスコ)
  • 教育を受ける機会を得られた女の子は、将来生む子どもが病気になったとき、深刻な状態になる前に適切な対応をしたり、子どもの栄養に関する情報にアクセスしやすくなったりする。
  • 教育を受けた母親の子どもは、教育を受けていない母親の子どもよりも学校に行ける割合も高くなる。
     

家族の生活が豊かになり、周りの人たちの行動に変化がうまれる

  • 家計が豊かになり、家族の食事や子どもの教育費にあてられる金額が増大

地域は豊かに、より安全に

  • 技術や知識を得た女の子が就職や起業を通じて納税者となれば地域経済は潤う。
  • 女性が意思決定に参加すると成果があがるという統計。
  • マラウィでは、女性が教育を受け、男性と同じように農作業の決定に参加できた場合、収穫高が約7.3%向上する」(データソース:国連、世界銀行)
  • 女性が発言できる社会では多様な解決策が生まれやすい。

国や世界が豊かに、そして公正な社会に

  • 「世界中のすべての女の子が中等教育を修了できたら、30兆米ドルの経済効果がある」(データソース:世界銀行)
  • 女の子の政治参加が進めば女の子に悪影響のある法制度は改正され、女の子の権利が守られる社会に近づく。
  • 今まで女性が経済や政治への参加から取り残されてきた分、国や世界は豊かになる。
     

こちら、のページにわかりやすくまとめられています。

〇「親」になるとは

  • 「親」:距離に関わらず、成長を見守る・支援する・親近感を持つために「親」という言葉を選んだ。
  • 「プラン・スポンサーシップ」:個人支援(「あしながおじさん」)ではなく、地域支援活動への支援

チャイルドは一人だけど、周りで支援している人々、地域の活動、それら全体を見守るという意味合いで
「親になる」という感覚 (ある支援者の方の言葉)

端的で印象的な言葉でした。

通常、第三土曜日の午後だったのが、今回は平日の19時からということで参加者の方も若干年齢が高かった気がしました。
(学生さんの比率が感覚的に低い感じ。それでも高校生くらいと思われる方々が数名参加しており、その意識の高さは素晴らしいと思います。)
また、プランさんへの接触も初めて、という方の比率も高かったようです。着々と裾野が広がっている、良いことだと思います。

PIJサイトの本イベント開催報告は、こちら、からご覧ください。


『チャイルド』
子どもたち、とりわけ女の子たちがもつ可能性を十分に発揮できる村づくりを目指す「プラン・スポンサーシップ」。
プランとともに活動し、村を代表してその成果を私たちに伝えてくれる子どもたちを「チャイルド」と呼びます。
PIJ公式HP より)

「チャイルド」の属する地域・社会の改善をプロジェクトとして推進していく仕組みとなっており、支援をするスポンサーには、プロジェクトの活動状況の他に、チャイルドとの交流により、より現地の状況変化を知ることができます。
引き続き、地道ですが、応援を続けて行きたいと思います。
ご興味、ご賛同いただける方は、こちらのPIJサイトにて、ぜひ支援のお申し込みをどうぞ。

株式会社プルモデラは、プラン・インターナショナル・ジャパンの活動に賛同しております。
プラン・インターナショナルは、子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会を実現するために
世界70カ国以上で活動する国際NGOです。

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

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