Bunkamuraザミュージアムで開催中のロシア国立トレチャコフ美術館所蔵品展。

まもなく会期終了となりますが、素晴らしかったです。

まさにタイトル通り。

革命前の帝政ロシア時代に、こんな作品があったなんて

イサーク・イリイチ・レヴィタン『森の小花と忘れな草』

四季折々を描いた作品群は、とっても柔らかで鮮やかな色で表現され、厳冬さえも描かれる白は柔和で素敵です。

レヴィタン(「森の小花と忘れな草」「樫の木」)やシーシキン(「正午、モスクワ郊外」「雨の樫林」)は、その構図、色遣いが印象に残りました。

イワン・イワーノヴィチ・シーシキン『雨の樫林』
ワシーリ・ニコラエヴィチ・バクシェーエフ『樹氷』
イワン・イワーノヴィチ・シーシキン『森の散歩』
イワン・イワーノヴィチ・シーシキン『正午、モスクワ郊外』

人物描写も、独特。ヨーロッパ絵画の影響をうけつつも、独特の雰囲気が醸し出されています。レーピンによる「ルビンシュテイン」「クラムスコイ」、丁寧に描きこまれながらも、ヨーロッパ絵画に見られる宗教性や何となく押付られているよう(ある意味強迫的)な雰囲気が無いところが印象的でした。子供を描いた諸作品にも丁寧さや柔和さが目立ちました。

そして、女性。クラムスコイの「忘れえぬ女」「月明かりの夜」。
女性の表情、仕草はもちろんのこと、その背景まで丁寧に描かれているのが、やはり「現物」を間近で観ることで分りました。さすが、本展覧会で「看板」となる作品だと思いました。

イワン・ニコラエヴィチ・クラムスコイ『月明かりの夜』
イワン・ニコラエヴィチ・クラムスコイ『忘れえぬ女』

「忘れえぬ女」、原題は「Unknown Lady」(のロシア語)。

原題に忠実に「見知らぬ女」と記載することもあるようですが、見知らぬ女性ながらその出会いが衝撃的で「忘れることができない」くらいの女性という「忘れえぬ女」。

タイトルまでロマンティックな作品でした。

建築物を描いた作品が思いのほか少なかったのは残念でしたが、新たな発見いっぱいの「当たり」な観覧でした。

(注)
本投稿の作品画像は、
ポストカード(の部分)を撮影したものです。従って、色、全体の構図などは実物とは異なります。
実物は、ぜひ、展覧会に足をお運び、ご覧ください。

セルゲイ・イワーノヴィチ・スヴェトスラーフスキー『モスクワ美術学校の窓から』

新着情報のご案内をいたします。よろしければ、こちら よりご登録ください。

関連記事

  1. プラン・ラウンジ4月 インドネシア国統括事務所長による活動報告

    2019.04.27

    プラン・ラウンジ4月 インドネシア国統括事務所長による活動報告

    プラン・インターナショナル・ジャパン(PIJ)さんの活動報告会が開かれました。現地でどんな活動が…

    プラン・ラウンジ4月 インドネシア国統括事務所長による活動報告
  2. インゲヤード・ローマン(Ingegerd Råman)展

    2018.09.24

    インゲヤード・ローマン(Ingegerd Råman)展

    日本・スウェーデン外交関係樹立150周年を記念して、東京国立近代美術館工芸館にて開催されている「イン…

    インゲヤード・ローマン(Ingegerd Råman)展
  3. チームラボTANK上海

    2019.06.30

    チームラボTANK上海

    いまや日本のみならず世界中の各地で開かれるチームラボさんのイベント。上海の新興開発地区(西岸 W…

    チームラボTANK上海
  4. 「辰野金吾と美術のはなし 」

    2019.11.12

    「辰野金吾と美術のはなし 」

    東京駅丸の内の長い整備期間中に知った、東京駅の設計者辰野金吾の名前。その建築家・辰野金吾(1854-…

    「辰野金吾と美術のはなし 」
  5. 第18回文化資源学フォーラム 「コレクションを手放す 譲渡、売却、廃棄」

    2019.05.29

    第18回文化資源学フォーラム 「コレクションを手放す 譲渡、売却、廃棄…

    2019年2月17日(日)13:30〜17:00会場:東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室この…

    第18回文化資源学フォーラム 「コレクションを手放す 譲渡、売却、廃棄」
  6. 手彩色写真画家安斉紗織の創る手彩色写真画

    2020.11.5

    手彩色写真画家安斉紗織の創る手彩色写真画

    2020年11月23日(月)~渋谷で開催される「安斉紗織×荒井沙織 二人のさおり展」。個性あるお…

    手彩色写真画家安斉紗織の創る手彩色写真画
  7. ファインアートフォトを世界に広める個展の運営とは

    2020.10.11

    ファインアートフォトを世界に広める個展の運営とは

    京都芸術大学通信教育部芸術教養学科での課題で、「ファインアートフォトを世界に広める個展の運営」につい…

    ファインアートフォトを世界に広める個展の運営とは
  8. 現代アートの”お金”の話

    2019.03.19

    現代アートの”お金”の話

    2019年2月26日 19:00-21:00 於:WASEDA NEO講師;船山公認会計士事務所船山…

    現代アートの”お金”の話
  9. 京都で和を楽しむ。(その3)

    2019.06.22

    京都で和を楽しむ。(その3)

    京都で開催される貴重なイベントに参加してきました。季節よく緑の映える日でもあったので、心身のリフレッ…

    京都で和を楽しむ。(その3)

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


過去記事はこちら

PAGE TOP