東京駅丸の内の長い整備期間中に知った、東京駅の設計者辰野金吾の名前。
その建築家・辰野金吾(1854-1919)の没後100年を記念した展覧会 「辰野金吾と美術のはなし 没後100年特別小企画展」 が
東京ステーションギャラリーにて開催されているとのことで、見学に行きました。

入り口で迎えてくれるのは、画家後藤慶二が描いた一枚の絵(辰野金吾博士_作品集成絵図)
何気なく見ると、西洋建築の街並みのようですが、すべて辰野が設計・建築した建物ばかりの絵。
これは、壮観でした。

その先の展示室では、
「日本銀行、中央停車場(東京駅)、国会議事堂」は作りたいと常々語りながらも、国会議事堂は建築の志半ばで夜を去ることになってしまった辰野の生涯、そして友である画家松岡壽と関係のある作品などが展示されます。

「美術のはなし」と展覧会のタイトルについているように、彼の設計した建築物というよりは、建築家としての基礎作りに影響を与えた美術的素養の展示が多く、目を惹きます。

なかでも、辰野がイギリス留学中に書き溜めたスケッチ帖(のコピー)は、じっくりと見入ってしまいます。
イギリスだけでなく彼が精力的に出かけたフランスやイタリアでのスケッチ、
書き込まれた文字は読めない(ほぼ英語であることはわかる)のですが、材料や構造、建物の装飾がびっしりと書き込まれており、西洋の技術を貪欲に吸収する姿勢は強く感じました。

そして、メインイベントとなる特別展示スペースへ
東京駅の当時の設計図(青焼き)を、全体も部分も、いわゆる企画案(没案)も含めていっぱい見ることができます。
建築素人の筆者でも、大変興味深く、そして感動しながら見ることができたので、
建築関係者や興味のある方には、垂涎の的ではないでしょうか

  • 日本文化への造詣が深かったフランツ・バルツァーが和風の4棟の建屋を間隔をあけて一直線に配したのが当初のデザインだったこと
  • しかし、不人気であり、辰野金吾に回ってきたこと
  • 辰野自身は、バルツァーのデザインを「島田髷の洋美人式」と評価していたこと
  • 「丈が低くとも、色が黒くとも、洋服を着るならボンネットを冠り、靴を穿くほうが適当」として、英国留学中に注目していたクイーン・アン・スタイルの建築様式を選択したこと
  • 帝室専用口には、黒田清輝が下絵を描き、和田英作田中良五味清吉が制作した壁画があったが1945年の空襲で焼失してしまったこと

など、個人的には、新たな知識の吸収ともなりました。

そして、最後にある、参加型のコーナー。
辰野金吾のデッサン、言葉、図面を読み込み、トートやTシャツにオリジナルデザインで作れるコーナー
上述のスケッチ帖に書かれていた内容や、実際の図面など数百のパーツから10個までを自由に組み合わせ、
自分の好きな言葉の入力も可能です。

スタッフの方に勧められ(乗せられ)て、30分以上、タブレットで格闘して、作ってしまいました。
どうしても入れたかった、東京駅のドームの内側設計図、東京駅の全体像、オリジナルのトートバッグができて大満足の展覧会でした。

(注)
本投稿の作品画像は、ポストカード・図録等を撮影したものです。従って、色、全体の構図などは実物とは異なります。

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